2016年07月01日

ジョイランド

 スティーヴン・キングは小説の内容だけでなく時に出版の形態にまでこだわったりします。2000年には「Riding the Bullet」という小説をいち早くe-bookという形で世に出しました。あれから十数年経ち、キンドルなどが普及した昨今、今度は「書店に足を運んでもらうため」という理由で印刷物のみのアナログオンリー出版(音楽でいうところのヴァイナルオンリー)にこだわりました。それがこの「ジョイランド」です。
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 内容はと言いますと、ホラー風味の青春小説とでも言いましょうか、青春小説といっても「スタンド・バイ・ミー」や「IT」などのボーイズライフものともまた異なる恋愛小説であります。
時は1973年夏。彼女に振られた21才の男子学生がその失恋の痛手を忘れるべくジョイランドという地方の遊園地で着ぐるみを着てのバイトに明け暮れています。
街全体を見下ろす観覧車やメリーゴーランド、占い師、園内をスピードグラフィックカメラ(古いハリウッド映画なんかで新聞記者が抱えている大きなカメラ)を持って客の写真を撮って廻るハリウッド・ガールズ。
一見オモチャ箱をひっくり返したような賑やかな夏の遊園地。
しかし、実はそこには忌まわしい過去が、、、、、と、まあ、内容はこれくらいにして。
そして、語り口は今や60才を過ぎた男が40年前の夏を思い出すような形で語られています。
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キングがノスタルジックに描く70年代といったらおそらく当時の音楽をふんだんに盛り込んだ小説なんだろうなという予想どうり行間から当時のロックなどが流れて来ます。
で、そう、このカバー絵もロック好きな人がみたらあのプログレの名盤のイントロが脳内再生を初めているのかもしれませんが、実はこれこの小説には関係ありません。ただ、キングのホラーハウスでもあるし館内からの「キャー」という叫びを表現したくクリムゾン・キングを壁面にくっ付けてみました(笑)。
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アメリカでは「サマーリーディング」という言葉があるそうですが、夏の休日などにぴったりな本です。
過ぎ去りし夏を懐かしむ方も、また、青春真っただ中の方も是非「ジョイランド」を!
七月八日発売。丸一日遊べて入園料は860円+税となっております。

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2016年03月09日

ケン・フォレット歴史絵巻「百年三部作」完結

ケン・フォレット渾身の歴史絵巻「百年三部作」がこの度完結致しました。
巨人達の落日(全刊)軽.jpg
まづ第一部「巨人たちの落日(Fall of Giants)」は第一次大戦を巡る人間模様を描いた文庫三冊組、
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そして第二部「凍てつく世界(Winter of The World)」はベルリンにヒトラー・ナチスが台頭しファシズムの機運がヨーロッパの至る所で盛り上り、第二次世界大戦が終結するまでを描いた文庫四冊組。
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そして第三部「永遠の始まり(Edge of Eternity)」は六十年代から始まります。東西の冷戦、公民権運動。ケネディが、キングが、そしてジョンが銃弾に倒れ ベルリンの壁が崩壊するまでを描いた文庫四冊組。
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「百年三部作」計十一冊。ページにして約5500ページ程。存在自体がベルリンの壁のよう(笑)。
ドキュメンタリー番組「映像の世紀」を見ているようでもあり、また我々の今日が膨大な死者の上に成り立っている事にも驚きを覚えます。
書店に行かれたら是非手に取ってみて下さい。
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2015年08月01日

血の弔旗

血の弔旗下がき.jpg
1966年夏。午後九時を少しまわった頃。
目黒区碑文谷のサレジオ教会の近くの屋敷に強盗が入った。
賊は三匹の番犬を毒殺すると現金11億円を奪い逃走。
さて、犯人は一体何者?
と、いうと普通の犯罪小説になっちゃう。
そうでなくて犯罪を犯した本人が主人公で用意周到に企てられた完全犯罪が、
十数年の時を渡って少しずつ少しずつ崩れて行く過程を綿密に描いた小説です。
そこで一体この「血の弔旗」という意味深なタイトルの意味するところは何でしょう?
と、いう事になるわけですが、、、、。
それを言うとネタバレっぽくなるので、気になる方は読んでみてください。
血の弔旗.jpg
デザインは日下潤一+赤波江春奈さん。
580ページとかなり分厚く定価は2200円です。
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2015年06月29日

新装版「魔術はささやく」

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ギキーーィィイイ(ブレーキの音)
ドッカーン(追突)
ウィーーーーウィーーー(パトカーのサイレン)
時折街でおきる悲惨な事件。
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しかし、この若い女性は何故信号を無視して車の前に飛び出したのだろう?
何者かに追われていたのだろうか?
視線を左にずらすとガード下の壁に魔術師のような影が、、、。
もしかして魔術師がいて彼女に何かをささやいたのだろうか?
もしそうだとしたら何の理由で?
何が目的で?
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1989年に出版された「魔術はささやく」の新潮文庫新装版が出来ました。
今から25年前、宮部みゆきさんがまだ20代の頃の作品ですが複雑な構成といい、
緻密な細部の描き込みといい、まさに今の「ソロモンの偽証」などのミステリー小説の原点という作品です。
デザインは新潮社装幀室の児玉裕子さん。
今回は昭和に書かれた作品という事もあり絵柄もデザインも若干レトロな感じを意識しています。
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帯も4色+特色の五色刷で背の文字が手書きだったりと凝った作りになっています。
どうぞ、本屋さんで手に取ってお確かめ下さい。
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さて、話が脱線しますがこの写真を見て下さい。
なんか、有楽町や新橋に比べると道が広いし文字も読み慣れない?
そうこれはベルリンの高架下なのですが、実はあの日比谷あたりの高架下は
ドイツのデザインを模したのか実際ドイツ人が設計したか?という話を以前聞きました。
そう言えばあそこって昔からドイツビアホールがあったりしますよね。
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また、東京駅はアムステルダム駅と印象が近いし東京のモダン建築とかレトロ物件と言われるものは
どこかヨーロッパの匂いがしますね。

最後に色を塗っている時思った単純な疑問。
赤信号、黄信号、青信号って言うけど正確には青というよりエメラルドグリーン信号ですよね。笑。
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2015年06月05日

ドクター・スリープ

 スティーヴン・キングの新刊「ドクター・スリープ」がいよいよ来週6/11より本屋さんに並び始めます。
あの名作「シャイニング」の続編という事もあって首を長くして待っていらっしゃる方も多いようです。
キングファンでない方でも「ああシャイニングって原作は読んだ事無いけど昔ビデオで見たな」って方は多いかと思います。
あのキューブリック監督による映画の中でホテルの廊下を三輪車に乗って走って、双子の少女の幻に出くわしていたダニー坊やが、あれから三十数年の時を経て立派な?大人になって帰って来ます。
 立派な、の後に何故「?」が付くかというと、まずシャイニング(かがやき)という世間の健全な人間には備わっていない特殊な能力を持って生きて行かねばならぬ状況にある事。
そして、やはりというか父ジャックゆずりのアルコール中毒は避けられない体質であった事。
シャイニングでは父ジャックの強烈なキャラ(酒飲み、時に癇癪)が印象的でしたが、あの男と母ウェンディーの間に生まれたダニー。
今ではホスピスの職員として、老いた者を穏やかに大いなる眠り(スリープ)につかせる不思議な男として「ドクター・スリープ」と呼ばれています。
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さて、カバー絵は山の頂きに立つ今はなき呪われたホテルの背後に月が昇り、その光りに照らし出された子供達(ミニ機関車ヘレン・リヴィントン号に乗っている)を描いていますが、光りとか輝きを描く事は同時に闇を深く描き込む事になります。
西欧では光りと闇のコントラストを用いた絵画のスタイルを「テネブリズム」と呼び、またこのような明暗法(陰影法)のテクニックの事をキアロスクーロ(Chiaroscuro)と呼びます。
「卵」と言ったら日本人は頭の中にすっと線で描かれた楕円を思い浮かべるかもしれません。ものの存在を輪廓線的に漫画的に捉えがちですよね。
でも、古くから遠近法などが普及し物事を3Dで捉える国では、卵と言ったら黒いバックにぼおっと白い球体が浮かび上がる様を想像するのかもしれません、写楽が描いた役者絵とフェルメールが描いた青いターバンの少女なんかを想像してみると対象的ですよね。

話が脱線しましたが、夜の闇が深ければ深い程月の光りとか朝日の輝きが眩しいように、我々は世界を対比で捉えているかと思います。
光りを描くには闇を、闇を描くには光りを、そして、「善」を描くには当然「悪」を描き込む事になるわけです。
物語は後半、ダニーと同じ様なかがやきの能力を持つ少女アブラと共に、かがやきを持つ子供達を餌食にして生きながらえている闇の勢力との戦いに雪崩れ込みます。
強力なかがやき(シャイニン)とどす黒い闇の対比、、、。

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デザインは文春デザイン室の石崎健太郎さん、いつもながらの大胆かつ繊細な仕事。細部まで神経の行き届いた造本。帯はウェブでご覧になるとクリーム色の印刷に見えますが、実際はカフェラテ色のクラフト紙を使っています。カバー印刷も以前のようなつるっとした感触から、ややざらっとした手触りに仕上がっています。
また、扉にもお楽しみな手触りが、、、、。
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この内容、重量で定価は(本体1800円+税 )です。ぜひ、本屋さんで手にとってお確かめ下さい。

最後に絵を描いてる最中なんどか再生した歌。キングが「シャイニング」を描く際に着想源になったと言われている(ほんとはどうか知りませんよ)ジョン・レノンの「インスタント・カルマ」をお聞き下さい。

「Well we all shine on Like the moon and the stars and the sun」
「そうさ、僕等みなかがやいている、月のように、星のように、太陽のように!!」
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2014年12月19日

原画展いよいよ。

いよいよ明日(というか今日)から原画展が始まります。
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神楽坂の古い洋館を改造したアユミギャラリー。クリスマスモードで皆様をお待ちしてます。
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原画と一緒に展示してある文庫本は元通りに返して頂ければ立ち読み可です(笑)
なお、フライヤーではお伝えしてなかったのですが、初日19日の午後6時から9時までささやかなパーティーというか飲み会を致します。どうぞお気軽にお立ち寄り下さい。
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また、ギャラリーのご好意により最終日の24日のクリスマスイヴにも午後6時から9時までもささやかな
パーティー行います。こちらもお気軽にご参加下さい。
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ちなみに会場BGMのプレイリストです。
では、皆様お待ちしてます!
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2014年12月17日

原画展カタログ

明後日の19日から24日まで神楽坂アユミギャラリーで開催する原画展のカタログが出来上がりました。
A4サイズで30ページ。
表紙の紙はヴァンヌーボー195kgを使用。高精細280線で印刷しました。
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本文部分の紙も同じくヴァンヌーボー135kgを使用。
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原画と比べてもかなりの再現度です。
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こらは、文庫本と比べたところです。かなりの迫力です。
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時代物はこんな感じ。
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ファンタジー小説の挿絵もたくさん掲載しました。
デザインは新潮社装幀室の黒田貴さん。
定価は税込みで1000円です。
是非、会場で手に取ってご覧下さい。
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2014年12月10日

原画展フライヤー

19日から始まる原画展のフライヤーが出来ました。
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三つ折りの葉書サイズで広げるとこんな感じ。
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裏はこんなかんじです。
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デザインは新潮社装幀室の児玉裕子さん。
単行本のカバーによく使っているミスターBという紙に印刷しました。
知人のところには発送済みですが、もし、欲しい人がいたらメールでご住所を知らせてくだされば発送します。
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2014年12月03日

原画展

12月19日からクリスマスイヴの24日までの六日間原画展を開催します。
「藤田新策が描く宮部みゆきの世界」と題して
1992年に始めて描いた「火車」の単行本のカバー絵から、
最新刊の文庫版「ソロモンの偽証(全6巻)」の原画まで、挿絵なども含めて約50点を展示致します。
原画展DM表.jpg
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場所は神楽坂のアユミギャラリーという所で新潮社の倉庫をリノベーションして近頃オープンした商用施設
La Kaguの早稲田通りを隔てた向かい側です。
師走の慌ただしい時期ではありますがこの機会に散歩がてらに楽しんで頂けたら幸いです。
なお、原画展についての情報は引き続きこのブログでお伝えして行こうと思いますので時々ご覧下さい。
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2014年08月25日

ソロモンの偽証第一部 事件

宮部みゆきさんの文庫版「ソロモンの偽証」第一部「事件」が今週から本屋さんに並び始めます。
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「ソロモンの偽証っどんな意味なんだろう?」って大人でも少し考えさせられるタイトルですが、お話の入り口はいたってシンプル
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クリスマスの夜に一人の少年が中学校の屋上から転落するのですが、、、。
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さて、それは「殺人か。」「自殺か。」
今回の第一部が文庫で二冊なのですが、まだまだ物語の入り口です。
転落死した生徒は不登校だったので自殺と片付けられますが、「同級生によって突き落とされる現場を目撃した」という告発する手紙が届き、また過剰報道によって学校、保護者の間に混乱が広がり、公然と犯人探しが始まります、、、。
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デザインは新潮社装幀室の児玉裕子さん。

そして、大人達の曖昧な追求に業を煮やした
同級生達が事件を解明しようと立ち上がる
第二部「決意」の二冊が九月末に発売されます。

そして、ついに学校で法廷を開かれるようになる
第三部「法廷」の二冊が十月末に発売されます。

三ヶ月にわたり計六冊の超大作となりますが、暑さも峠を越した晩夏から秋に向かう季節。
是非「ソロモンの偽証」をお楽しみ下さい。
そして、多くの人が読み終わるであろう2015年春には映画版「ソロモンの偽証」が公開される予定です。
是非そちらもお楽しみに。




posted by 新策論 at 19:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする