2017年11月08日

絵本「Le long d’un reflet」

フランスで翻訳出版された絵本「Le long d’un reflet」の見本が届きました。
日仏比較.jpg
まづ、サイズが2割ほど大きくなって存在感が増しました。
しかし、よく見るとウキや釣竿、歩道や人物が水面より浮き上がっていて、
妙にリアルな空間感を感じませんか?
実はこれには、ある仕掛けが施されています。
絵本斜め見.jpg
この、斜めからの写真を見てください。
歩道、人間、建物、ウキや釣竿がある世界と水に映った世界の質感の違いがお分かりでしょうか?
実はこの印刷、「実際の世界」と「水に映り込んだ世界」が異なる手法で印刷されているのです。
離れて見るとなんかリアルな空気感。触れてみると歩道の部分と水の部分の感触も違います。
絵画には油彩、テンペラ、日本画などのジャンルがありますが、どれも顔料(色の粉)を膠や卵で溶いて紙や布に定着していることに変わりはありません。
ただ、メディウム(媒剤)によってかなりテクスチャーは変わります。
例えば、ワイエスの様な人は顔料を蒸留水と卵で溶いて、カラッとに乾いた世界を描きますし、
油絵の具をダンマル樹脂やリンシードなどで溶いて何層も重ねるとガラス質の層が描けます。
「dryな世界とwetな世界」「温かい世界と冷んやりした世界」
この違いをインクとニスを巧みに使いこなして再現しています。
この絵本の日本語の題名は「ちいさなまち」ですからフランス語に置き換えたら「la petite ville」となるかと
思います。
ただ、あえて「Le long d’un reflet」(Le long は沿って、refletは反映)と「水面を眺めながら」みたいな
ニュアンスのタイトルにしたのは実世界と水に写り込んだ世界の面白さに着目したからなんでしょうね。
そういう意味で翻訳出版における編集者やデザイナーの役割とは「言葉とか画像」という素材を加工するという意味で、
料理人にも似た感じもありますね。
絵本背.jpg
絵本見開き.jpg
背と見返しはベージュで、
絵本扉.jpg
ベージュの色面から枯れ葉が白い化粧扉の空間にまい、本編へと続きます。
本文.jpg
「au bout d'un moment,le vent se leve
fshhh! la surface de l'eau se met a trembler」
「しばらくすると、風が吹いて、
フーー!すると、水面が揺れ始めて」
文字は小さな子供でも読みやすいよう、大きめにゆったり組まれています。
著者近影.jpg
巻末、作者のおじさんのポートレイトにも枯れ葉とreflet(反映)が、、、、(笑)。
画集のようなしっかりした造本、パリジャンのエスプリ満載で値段は13,5ユーロです。
追って原画展のお知らせもします。
しばし、お待ちください。
posted by 新策論 at 20:10| Comment(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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