2016年10月06日

文庫版『11/22/63』

 本年度のキング祭りの第三弾文庫版「11/22/63」が明日から本屋さんに並び始めます。
「11/22/63」とは1963年11月22日の事。つまりJFKことジョン・フィッツジェラルド・ケネディが
テキサス州ダラス市内をオープンカーでパレード中多くの市民が見守る中何者かに狙撃され死亡した日
の事をさします。

11.22.63文庫カバー(入稿).jpg 
 物語は高校教師ジェイクがよく行くダイナーのオーナーからある事を頼まれるところから始まります。
オーナー曰く「ここ(アルス)・ダイナーの食料庫に(アリス)の兎の穴があり、そこから50年前の世界に行く事が出来る。俺はそこ(50年前の世界)に行って牛肉を安く仕入れて来てはハンバーガーを作っていたんだ。只、自分は病で老い先短い。そこで、あんたにお願いがある。
50年前の世界に行って「11/22/63」のケネディー暗殺を阻止してくれないか」、、、、、、と。
 
 ここから高校教師の果てしない時間旅行が始まるのですが、折しも日本版の単行本が発売された2013年秋は1963年から丁度半世紀たった年でアメリカでは様々な記念式典が催され、またJFKの娘さんであるキャロライン・ケネディーが駐日アメリカ合衆国大使に就任した年でもありました。
そして、年末に行われた『このミステリーがすごい!』と『週刊文春ミステリーベスト10』ではそれぞれ一位に選ばれました。
 ですから「11/22/63」は面白さという意味では当然保証付きなわけですが、自分のように無知な人間にとっては「面白い」というよりむしろ「勉強になった」という印象が残りました。
と、言うのも(言い訳がましくなりますが(笑)美大という所は入試科目が現国と英語と実技のみという関係上、歴史の教養がずっぽり抜け落ちていて、ましてや戦後現代史などについては全く疎い)。
 例えば「東西の冷戦」なんて言葉こそ知っていますが、それがどういう事だったのかと問われたらかなりきびしい。
ですから、ケネディーが1962年に成し遂げたキューバ危機の回避の場面などは現実の話と理解しつつもとてもスリリングに読みました。

アメリカとソ連の間で核戦争が勃発しそうになり広島型原子爆弾の数百倍に達する核爆弾が用意されていた。その威力たるや第二次世界大戦中に全世界で使われた総爆薬量の10倍。もし核戦争が起こっていたなら、数億の人が死んでいたかもしれない。
その頃の自分と言えばのどかな田舎でまだ幼稚園児だった。もうすぐ夢の超特急(当時新幹線の事をそう呼んでいた)が走り、日本はオリンピックを前にして空前の好景気だった。
そんな頃海の向こうで「世界の終わり」が迫り来ていたとは、、、、。

 また、ジェイクが50年前の世界でガソリンスタンドのトイレに入って行くシーンも印象的だった。まず二つの扉に「ご婦人用」と「殿方用」。ここまでは普通なのだが、その他に「coloured(有色人種)」という矢印があって辿ってゆくと小川に辿り着くという、、、、。
ケネディ。ブログ.jpg
さて、装画ですが単行本の時は上下本の二冊でしたが、文庫では上、中、下の三冊になったので左右を三割程
拡張したワイド・バージョンになりました。それにより単行本の時より「過去→現在」「country→cityという
タイムトリップ感が増した様に思います。
 装幀デザインは石崎健太郎さん。上、中、下の三冊にそれぞれ11,22,63が大きく配されたデザイン。
十月七日発売。定価は上が890円+税。中と下が950円+税となっています。

 また「11/22/63」http://www.star-ch.jp/112263/はJ・J・エイブラハムの監督で全9話からなるドラマシリーズがスターチャンネルで放映されています。見所は何と言っても60年代の世界なのですが、そのエキストラの数たるや1700人(当時の髪型、化粧で服装に関しては下着から当時のものを着用するという徹底振ぶり)また用意された当時の車の数がなんと2000台。こちらの方もよかったら是非。


posted by 新策論 at 17:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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