2016年08月18日

ミスター・メルセデス

丁度去年の今頃でした、ツイッターのタイムラインに「スティーヴン・キング  エドガー賞長編部門賞受賞」という記事が流れて来ました。
キングがアメリカの文学賞をとる事はさほど珍しい事ではありませんから、その時は何も考えずリツイートしました。
でも、ちょっと経ってから「あれ?さっきのおかしいぞ、エドガー賞は日本の作家もノミネートされた事があるミステリーの賞だ、
キングとは無関係のはず」 すかさず削除しようと思ったのですが、ちょっと、待てよ、まさかそんな事は無いだろうけど?
と、ググってみたのですが、、、、。
その、まさかが来週発売になるキング初のミステリー大作「ミスター・メルセデス」なのです。

 ただ、ここでファンタジー、ホラー、ミステリーなど、エンタメ小説の違いって何なの?と、いう事について簡単に触れておきますと、、、、。

例えば、今、自分は世田谷の家で椅子に座っていますが小説の中で五分後に東京駅まで移動しようとします。

ファンタジーだったらこれは全然オッケーですね、
帚に股がって空を飛んでも良いし、窓の外に猫バスがくるかもしれない、また、東京駅はおろか
どんな異世界でもすっと行けるのがファンタジー。
魔法の世界のお話ですからね。

次に、ホラーはどうかというと、これもオッケーですね。東京駅にいた俺はドッペルゲンガーだとか、
双子の片割れだとか、身体から魂だけが離脱したとか、いくらでも理屈は付けられます。
超能力とか、予知夢、呪い、幽霊、吸血鬼など現在の自然科学の知見では説明できない世界を描いたジャンルですからね。

でも、ミステリー小説で世田谷から五分で東京駅に移動は無理かと思われます。
電車は論外。自動車では時速何キロ?信号は幾つある?
ヘリコプターなら?ヘリポートは何処のにある?と、
「現実」に即して「科学的」に「論理的」に進行するのがミステリー小説ですからね。

それぞれ違ったルールのもとで面白さ競っているんですね。
 
ですから、キングの様に「恐怖の帝王」として吸血鬼とか、呪われた館とか幻想の世界で勝負して来た人間が、
突然全然違う畑で初のミステリー小説を書き,アメリカ推理小説最高権威であるエドガー賞を受賞したという事実を確認した時は、
まるで「ローリング・ストーンズが初のジャズアルバムでグラミー賞受賞」みたいな冗談を突きつけられたような感じでした(笑)。

ミスターメルセデス本番下書き軽い.jpg
さて、内容はと言いますと、ある日市民センター(日本でいうところのハローワーク?)に職を求め深夜から並んでいた人々の列に
霧の中から現れたメルセデスベンツが突っ込んで、数人を跳ね、轢き殺し霧の中へ去って行きます。
車自体は程なく発見されるのですが犯人はまんまと逃走。

この事件を追跡していた刑事ホッジズはついにこれを解決出来ぬまま無念の定年退職。

そして、退屈な日々を自堕落に過ごしていた退職刑事の元に「メルセデスキラー」と名乗る犯人らしき者から一通の手紙が届きます。
犯行の全容を振り返る気色の悪い内容。最後は「ざまを見やがれ、負け犬」と締めくくられています、、、。

しかし、引退後無気力に過ごしていた身に突きつけられた挑発に以外にも、むくむくと気力に満ちて来た自分に気づきます。

そして、この未解決事件の捜査の続行をある女性からの依頼される事になるのですが、、、、。
ミスターメルセデス本番イラスト完成3.jpg
ベーコンと固焼き卵の朝食をガッツリ食べるタフな刑事が主人公で、美女も登場となると、
「おっ、もしやこれはキング版フィリップマーロー?」なんて期待も湧いて来ます。
当然ハードボイルド的にも楽しめますが、これは過ぎ去りし良き時代をノスタルジックに語る小説ではなく、あくまでも舞台はリーマンショック後の現代のアメリカです。
探偵とメルセデスキラーとのやり取りも最初こそ「手紙」というアナログな手段が取られますがその後は、メールでも、ラインでもなく、有料のアプリが用意されます。
また、数々の犯行も素人には到底想像も及ばないハイテクを駆使した手口ばかりですから
すこぶるコンテンポラリー(今日的)なクライム・ノベル(犯罪小説)とも言えますし、
犯人はかなりやばい変態サイコパスですからサイコ・スリラーとも言える。
読者の受け取り方で色々な楽しみ方が出来るミステリー大作です。

さて、これだけでも驚きなのですがこの物語がこの一作で完結するのではなく。
探偵ホッジズ三部作(ホッジズ・トリロジー)として書かれたもので、
すでにアメリカ本国では三部が箱入りで発売されていると言うのですから、キングという人は怪物なのではないかとも思えて来ます。

ブログ写真.jpg

装幀デザインは石崎健太郎さん。カバーから表紙、見返し、化粧扉とまさにcool!なデザイン(紙選び印刷)が施されております。
帯の紙もパールがかったきらびきのような紙が使われています。どうか、書店でお手に取ってお確かめ下さい。


夏の暑さも一段落して季節は徐々に読書の秋へ、『ミスター・メルセデス』
八月二十二日発売。定価は上下巻それぞれ1850円+税となっております。

都心の書店ではそろそろ並び始めている模様。
どうぞ、是非御堪能下さい。






posted by 新策論 at 18:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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