2015年06月05日

ドクター・スリープ

 スティーヴン・キングの新刊「ドクター・スリープ」がいよいよ来週6/11より本屋さんに並び始めます。
あの名作「シャイニング」の続編という事もあって首を長くして待っていらっしゃる方も多いようです。
キングファンでない方でも「ああシャイニングって原作は読んだ事無いけど昔ビデオで見たな」って方は多いかと思います。
あのキューブリック監督による映画の中でホテルの廊下を三輪車に乗って走って、双子の少女の幻に出くわしていたダニー坊やが、あれから三十数年の時を経て立派な?大人になって帰って来ます。
 立派な、の後に何故「?」が付くかというと、まずシャイニング(かがやき)という世間の健全な人間には備わっていない特殊な能力を持って生きて行かねばならぬ状況にある事。
そして、やはりというか父ジャックゆずりのアルコール中毒は避けられない体質であった事。
シャイニングでは父ジャックの強烈なキャラ(酒飲み、時に癇癪)が印象的でしたが、あの男と母ウェンディーの間に生まれたダニー。
今ではホスピスの職員として、老いた者を穏やかに大いなる眠り(スリープ)につかせる不思議な男として「ドクター・スリープ」と呼ばれています。
ドクター・スリープ統合_小.jpg
さて、カバー絵は山の頂きに立つ今はなき呪われたホテルの背後に月が昇り、その光りに照らし出された子供達(ミニ機関車ヘレン・リヴィントン号に乗っている)を描いていますが、光りとか輝きを描く事は同時に闇を深く描き込む事になります。
西欧では光りと闇のコントラストを用いた絵画のスタイルを「テネブリズム」と呼び、またこのような明暗法(陰影法)のテクニックの事をキアロスクーロ(Chiaroscuro)と呼びます。
「卵」と言ったら日本人は頭の中にすっと線で描かれた楕円を思い浮かべるかもしれません。ものの存在を輪廓線的に漫画的に捉えがちですよね。
でも、古くから遠近法などが普及し物事を3Dで捉える国では、卵と言ったら黒いバックにぼおっと白い球体が浮かび上がる様を想像するのかもしれません、写楽が描いた役者絵とフェルメールが描いた青いターバンの少女なんかを想像してみると対象的ですよね。

話が脱線しましたが、夜の闇が深ければ深い程月の光りとか朝日の輝きが眩しいように、我々は世界を対比で捉えているかと思います。
光りを描くには闇を、闇を描くには光りを、そして、「善」を描くには当然「悪」を描き込む事になるわけです。
物語は後半、ダニーと同じ様なかがやきの能力を持つ少女アブラと共に、かがやきを持つ子供達を餌食にして生きながらえている闇の勢力との戦いに雪崩れ込みます。
強力なかがやき(シャイニン)とどす黒い闇の対比、、、。

ドクター・スリープ5.jpg
デザインは文春デザイン室の石崎健太郎さん、いつもながらの大胆かつ繊細な仕事。細部まで神経の行き届いた造本。帯はウェブでご覧になるとクリーム色の印刷に見えますが、実際はカフェラテ色のクラフト紙を使っています。カバー印刷も以前のようなつるっとした感触から、ややざらっとした手触りに仕上がっています。
また、扉にもお楽しみな手触りが、、、、。
ドクター・スリープ4.jpg
この内容、重量で定価は(本体1800円+税 )です。ぜひ、本屋さんで手にとってお確かめ下さい。

最後に絵を描いてる最中なんどか再生した歌。キングが「シャイニング」を描く際に着想源になったと言われている(ほんとはどうか知りませんよ)ジョン・レノンの「インスタント・カルマ」をお聞き下さい。

「Well we all shine on Like the moon and the stars and the sun」
「そうさ、僕等みなかがやいている、月のように、星のように、太陽のように!!」
posted by 新策論 at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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