2012年06月29日

英雄の書

 商品のパッケージは個性的でかつ斬新な方が良いかもしれない。しかし、ワインが飲みたくて近所の酒屋で買って来たものが封を開けてみたら中身がビールだったなんていうのはまづい、、、。
 ワインはワインらしい佇まいという範囲内で個性を競わないといけない。
 同様に小説のカバーもハードボイルドはそれらしく、ミステリはミステリらしくというお決まりはやはり外せない。
英雄の書下描き.jpg
さて、今回の「英雄の書」は「火車」みたいなミステリではないし、「弧宿の人」みたいな江戸ものとも違う。「これはファンタジー小説ですよ!」という事が本屋の平台の前に立ったお客様に伝わらなくてはならない。
そんなわけで、最初は異界というかワンダーランドに少女が飛んでいるようなファンタジー全開の絵柄を考えた。しかし、新潮文庫の宮部みゆきというイメージから一気に飛躍しすぎるのも問題だから、今までの路線を残しつつファンタジー感をという注文が、、、。
「では、ファンタジーって現実の世界から異界へと入って行くお話なわけだから、上巻を現実。下巻を異界。みたいな、、、」と、いう話に展開するわけだけど、でも、なんかそれも予定調和か?って事で画面の中に対角線的に本棚を置き、東西を分断するベルリンの壁の如く現実と異界を描くという構図になった。
英雄の書.jpg
ミステリーのように物語の舞台が新宿だったり下町のような現実のものだったら、おおよその読者は文字をおいながら頭の中に像を描く事が出来る。しかし、ファンタジーの場合はこの世に無いものが描かれる事もある訳だから、ある程度その辺をカバー画で説明する必要もあるかと思う。「あっ、これが無名の地の咎の大輪か」とか
小説を読みながら楽しんで頂けたらと思う。
英雄の書2.jpg
けっこうしつこい絵に派手目な帯。家で見るとちょっとtalk too much?という気もするが、、、。
英雄の書4.jpg
こうして店頭に積まれたところを見ると、まあ、これも景気づけって事でアリか?(笑)なんて気もしないでもない。


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2012年06月27日

淋しい狩人

宮部みゆきさんの連作短編集「淋しい狩人」新装版のイラストレーション。
淋しい狩人.jpg
まず、お題はと言えば、「何処の町にでもありそうな雑居ビルの一階にある古本屋。店主の老人。そして店を手伝っている孫の高校生」
昭和初期の精神病院でもなく、明治のレトロホテルでもなく、ごくありふれた現代の古本屋を描かねばならないのだが、こういうお題はけっこう難易度が高い。例えばパリとかプラハなんかに旅行して、なにげに撮った写真でも雑誌のカットに使えそうなお洒落なものに仕上がったりするのに、その辺の商店街を絵にするのってけっこう難しいのと同じで、何処にもありそうな平凡な風景をなんとか鑑賞にあたいするものにするにはそれなりの工夫がいる。
たなべ書店.jpg
作中に登場する下町のたなべ書店は現存するもので、実はこんな外観なのだが、ちょっと横長で画面に収まりづらい。そこで実際近所の古本屋を何件か廻って写真を撮って参考にしながら、アングルやライティングを考えた。
淋しい狩人2.jpg
いろいろ考えたあげく、夕暮れの灯りを灯した時間帯。迎え側のビルから見下ろしたようなアングルに決めた。
「ちょっと雨が降りそうだから表のワゴンに積んだ本を店内に入れようか、」というような演出です。
同時に発売された「英雄の書」上下巻がなんか店頭で派手な展開になってる様ですが、こちらも渋いハートウォーミングなおはなし。忘れないようヨロシクお願いしますね。




posted by 新策論 at 19:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月25日

大幽霊烏賊

同じウイスキーでも炭酸水で割って軽くシュワーっと飲むのが適しているものもあれば、ちゃんとしたグラスで球体の氷なんかを浮かばせて飲んでみたいようなものもある。
と、同様に、我々が目にする文字情報もiphoneやipadの画面でさっと読んで済ましたいものもあれば、本という紙の固まりで読みたいものもある。つまみ食い的な情報は後に紙が残らない方が良いし、逆に手元に本という形で残したいものもある。「ライトなものはよりライトに、逆に重厚な容器で提供したいものは、百円、二百円のコストは気にせず丁寧なつくりで読者に届けよう」ここ二年くらいiphoneやipadが普及してからの出版界の傾向といえるかもしれない。
大幽霊烏賊.jpg
 さて、乱歩賞作家首藤瓜於氏の新刊のご紹介を。昭和初期の精神科病院で繰り広げられる事件の数々。その幻想的な世界を木立の庭から眺めた夜の病棟を描いた風景で表現してみた。カバーのそで表一から背、表四のそでまでぐるっとで包んでみた。
大幽霊烏賊2.jpg
割と小さめも文字がびっしりと575ページ。ずしっと重い作りで定価は2000円です。









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