2018年05月11日

無限のビィ

朱川湊人さんとの仕事は今から遡る事約15年程、まだ朱川さんが直木賞を受賞する以前、オール読物という文芸誌で数年にわたって挿絵を描かせて頂いたのが始まりでした。
「大阪や東京の下町を舞台にしたノスタルジックな世界」などと紹介される事が多いと思われますが、
一言でノスタルジックという言葉では片付けられない、不可思議な既視感(デジャヴ)とでも言いましょうか?
言葉では説明しきれない怪しげな闇みたいなものが魅力、と、当時から感じておりました。
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例えば、高架下のH型鋼材の暗がりに人が横たわっていると信じ込んで、その下を怯えて駆け抜ける少年?
ラーメン屋、小公園、木造アパート、誰もが普段見ている日常。その裏に潜んでいる怪しげな闇。
ただ今まで装画(カバー絵)を描く機会がなく、いつかその怪しげな魅力を描いてみたいとは思っていたのですが、
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今回、ようやく「無限のビィ」の文庫版のカバーを描かせていただくことになりました。
「無限のビィ」という得体の知れない悪霊が女教師や女生徒、カラスなどに次々とのり移って、のどかな下町に不穏な空気がじわじわと広がります。
例えば、産休の教師の代わりを務める補助教員の若い美人教師は、すかさず若い男子教員と教頭を翻弄し、校内では殺傷事件が勃発します。混乱の輪は徐々に広がり終盤にはパニックに、、。
というと「和製ホラーの大作!」と紹介されそうですが、個人的には「ディープ・ファンタジー」なんて呼びたくなりました。
無限のビィ(入稿).jpg
そしてこれは、実際に都下のある駅で起きた列車事故の大惨事から着想を得て、
想像を膨らませ、濃密な筆致で描き上げた朱川版「呪われた街」でもあるのです。
舞台はいわゆる「ブラタモリ」などに紹介される事はなさそうな、はっきり言ってあまり注目されていない街です。
ただ、今日のようにアニメなどの背景に描かれただけで、聖地巡礼などと言って人が押し寄せたりする時代。
もしかして将来「ホラー・ツーリズモ」なんてのが流行ったりしたら?
なんて、冗談言いながら、ふと、テレビを付けてみたら、なんとすでに「孤独のグルメ」の舞台になっていた(笑)。
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そんなわけで「無限のビィ」上・下各830円+税。徳間文庫より。
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2018年04月26日

「ミスト」

サニーデイ・サービスのPopcorn Balladsというアルバムに「彼女の名前はクリスマス♪」と繰り返す歌があって、最初聴いた時はヘンテコな歌だなと思ったのだが、フランス人がメリー・クリスマスの事を「ジョワイユ・ノエル」と言っているのを聞いて、あっ、そうかクリスマスはノエルなんだ、じゃ、オアシスのボーカル、ノエル・ギャラガーは名前がクリスマスなんだ(彼女ではないけれど)と思った。

ノエル=クリスマスならジョエルは?と調べたら、こちらは旧約聖書の著者とある。
だからシェフのジョエル・ロブションは名前が、歌手のビリー・ジョエルは姓が聖書なんですね。

欧米にはこういうキリスト教にちなんだ名前が結構あって、「クリスティーン」はキリスト教徒。マリアは説明するまでもありませんが、マイケル(英語)ミッシェル(仏語)ミヒャエル(独語)は大天使ミカエルが由来。他に天使ではガブリエルも。
そうか、マイケル・ジャクソンもピーター・ガブリエルも天使だった?のか、笑。

無宗教を自認する人の多い日本では(自分も例外ではないが)ちょっと理解しがたいかもしれないがキリスト教文化圏では名前だけでなく、美術や物語にもかなりキリスト教が関係しています。
映画については「奇跡の丘」から「ジーザス・クライスト・スーパースター」「ゴダールのマリア」から最新の「シェイプ・オブ・ウォーター」まで、例を挙げだしたらきりがありません、、。

キングの小説で一番それを感じたのが「グリーン・マイル」です。まづ、ふんずけられた鼠に息を吹きかけて生き返らせたり、病を癒したりする奇跡を起こす黒人の大男の名前が「ジョン・コフィー」。イニシャルは「J.C」ですからジーザス・クライストを連想させます。
そして、向かえの牢屋に収監されているフランス人の囚人の名前がドラクロワDelacroix。前置詞de女性名詞の冠詞laにcroix 「十字、十字架」。
また、処刑に使われる電気椅子自体が磔刑が進化したものだし、処刑の2日前から好きな食べ物のリクエストをさせてもらえるのも「最後の晩餐」を連想させる。電気椅子に向かうグリーン・マイル(緑のリノリウムを貼った通路)はまるでゴルゴダの丘に向かう悲しみの道の様だ、、、。
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さて、前置きが大変長くなりましたが、「ミスト(霧)」の新装版のお知らせです。
ミストは霧に覆われた街でスーパー・マーケットに閉じ込められた人達に、霧の中から現れれた怪物が襲いかかるパニック・ホラー
です。人間対得体の知れない怪物の手に汗握る戦い。
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でも、再度読み返してみると、閉じ込められたスーパー・マーケットの中で、当初ただの気の触れた婆さんとしか思われていなかったキリスト教信者のミセス・カーモニーの存在が、徐々にに預言者としての共感を人々から集め、自信に満ち、エキサイトして行く様子がとてもスリリングで興味深いのです。
キング作品では他に狂信的な母親に育てられた少女「キャリー」のお話も有名ですが、「ミスト」は宗教と人間との関わりについてのキングの深い洞察力にもうならされます。
以前読まれた方も、初めての方にも是非読んでいただきたい一冊です。
また、グリーン・マイルも手がけているフランク・ダラボン監督の映画ミストはエンディングこそ若干異なりますが、そちらも楽しんで頂けるとより味わい深いかと思います。

さて、キリスト教文化圏における人名についてダラダラと無駄話をしましたが、日本の小説で思い浮かぶのが村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」に登場する女性「木本沙羅」。お釈迦様は二本並んだサーラ樹(沙羅双樹)の間に、頭を北に向けて床を用意し、最後を迎えたと言いますから「木本沙羅」はすこぶる仏教的な名前かと思います。
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ま、そんな事を考えながら昔読んだ本を再度読み直すのも楽しいものです。
新緑の季節に是非新装版『ミスト』を定価860円+税で文春文庫から。









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2017年11月29日

「悲嘆の門」

本日、新潮文庫の新刊宮部みゆき著「悲嘆の門」が発売されました。
悲嘆の門モノトーン2.jpg 
さて、今日インターネット上に溢れる情報の中には放置していたらヤバイものが沢山ありますよね、
例えば、陰湿ないじめ、自殺サイト、テロ、フェイクニュース、違法ドラッグ、児童ポルノなどなど、
そのような犯罪に発展しそうなものを監視し、調査するサイバーパトロールが重要なのは言うまでもありません。
そこで、その手の仕事を専門とする会社に、若い人達によって運営されている『クマー』という一風変わったネーミングの会社があります。
今回は、そのクマーでバイトをしている大学一年生の男子、孝太郎が主人公です。
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物語の舞台は御茶ノ水だったり、西新宿だったりとリアルな東京なのですが、その平凡な日常の中にひたひたと不気味な闇が忍び込んでくる様は、
模倣犯などと同様、これぞ宮部節というスピーディーな展開!
どんどんとページをめくらされる事になります。
しかし、そのリアルな世界に突如、異界がパックリと口を開けて、読者をもう一つの世界に引きずり込むのが今回の「悲嘆の門」の特徴でしょうか?ミステリーとファンタジーが混じり合った異様な空間。
装画はそんなムードをダークなトーンで描いてみました。
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副都心のビルを背景に聳える西洋の塔を模した通称『お茶筒ビル』。
その廃墟ビルの頂上にはガーゴイルがこちらを見つめてしゃがんでいます、、、、。
また、右側にはタイトルと思われる『門』が聳えていますが、脇を囲む柵は『矛盾』。
つまり矛と盾で出来ています。どこまでが現世でどこからが異界なのか?この、摩訶不思議な世界を是非ご堪能ください。
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今夜あたりから、どどっ本屋さんに並んでいます。
お値段は上670円中630円下670円三冊合計で1970円です。
どうぞ、お手にとってお確かめください。
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2017年11月24日

「秘密の知識」

25日(土曜)午後5時から6時まで「秘密の知識」と題してトークを行います。
1,最初は美術史における発見としてBBCなどでも放映された、デイビッド・ホックニーの「Secret Knowledge」からアングルやフェルメールが使っていたカメラルシーダやカメラオグスキュラなどの光学機械について話します。
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2、次は「土と釉薬」「土性絵の具とニス」というテーマで陶芸と絵画の類似点について。
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3、「美術と美顔術」
ルネサンス期から皮膚の下地として使われたテルベルト(イタリアのVerona(ベローナ)近くの緑土)が現代でも泥パックとして美顔術に使用されていることについて話します。
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3、「鏡のゲーム」
一つのデッサンが反転されて左右(上下)対象に作図される構図は、現代ではフォトショップなどで行われています。
しかし、実はすでに15世紀頃からフレスコ画で行われていました。
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こんな、テーマで実際の顔料やニス、図版などを使いながら話します。
テレビなどでは放送されないディープな内容です。
この機会に是非。
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2017年11月21日

明日より絵本「Le long d’un reflet」の原画展。

いよいよ明日より絵本「Le long d’un reflet」の原画展が始まります。
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会場の設営もほぼ完了いたしました。
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こちらは会場で販売するパンフ及び絵本です。
宮部さんの装画集が1000円。日本版の絵本「ちいさなまち」が1200円。
フランス版の絵本は現地価格という事で、(132円✖️13,5ユーロ=1782円)ですがキリの良いところで1800円とさせて下さい。
ただし、フランス版のみ数に限りがありますのでお一人様一点とさせて下さい。
また、できればつり銭の無いようにして頂けると助かります。
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さて、話は変わりますが江戸川乱歩の探偵小説「D坂の殺人事件」をご存知でしょうか?実はこのD坂とは会場の近くの
「団子坂」の事でして、近所にはこんな喫茶店もあったりします。
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乱歩ゆかりの地でやる原画展ですので会場のはじにこんなコーナーを設けました。
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おっと、二十面相といえばこの方も忘れてはいけませんよね。
会場の周りも散歩が楽しい商店街や路地がいっぱいです、、、。
どうぞ、お誘い合わせの上、お越しください。
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2017年11月13日

絵本「Le long d’un reflet」の原画展の詳細です。

絵本「Le long d’un reflet」の原画展の詳細をお知らせします。
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期間は11/22~11/26
場所は谷中の器やさん「韋駄天」さん。
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一階はこんな感じ、日本各地から取り寄せた和の食器がずらっと並んでいます。
そして、お店の入り口の脇にはスティーヴン・キングの小説「11/22/63」に出てくる、
過去へとタイムスリップする「アリスの兎の穴」のような細い階段があります。
そこを降りた地下ギャラリーが会場です。
会期中「11/22~11/26」は、祝日(勤労感謝の日)と、土日と休日が3日あります。
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会場界隈もノスタルジックな商店街と路地が続く素敵なシチュエーションです。
散歩がてら是非お出かけください。
posted by 新策論 at 21:20| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月08日

絵本「Le long d’un reflet」

フランスで翻訳出版された絵本「Le long d’un reflet」の見本が届きました。
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まづ、サイズが2割ほど大きくなって存在感が増しました。
しかし、よく見るとウキや釣竿、歩道や人物が水面より浮き上がっていて、
妙にリアルな空間感を感じませんか?
実はこれには、ある仕掛けが施されています。
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この、斜めからの写真を見てください。
歩道、人間、建物、ウキや釣竿がある世界と水に映った世界の質感の違いがお分かりでしょうか?
実はこの印刷、「実際の世界」と「水に映り込んだ世界」が異なる手法で印刷されているのです。
離れて見るとなんかリアルな空気感。触れてみると歩道の部分と水の部分の感触も違います。
絵画には油彩、テンペラ、日本画などのジャンルがありますが、どれも顔料(色の粉)を膠や卵で溶いて紙や布に定着していることに変わりはありません。
ただ、メディウム(媒剤)によってかなりテクスチャーは変わります。
例えば、ワイエスの様な人は顔料を蒸留水と卵で溶いて、カラッとに乾いた世界を描きますし、
油絵の具をダンマル樹脂やリンシードなどで溶いて何層も重ねるとガラス質の層が描けます。
「dryな世界とwetな世界」「温かい世界と冷んやりした世界」
この違いをインクとニスを巧みに使いこなして再現しています。
この絵本の日本語の題名は「ちいさなまち」ですからフランス語に置き換えたら「la petite ville」となるかと
思います。
ただ、あえて「Le long d’un reflet」(Le long は沿って、refletは反映)と「水面を眺めながら」みたいな
ニュアンスのタイトルにしたのは実世界と水に写り込んだ世界の面白さに着目したからなんでしょうね。
そういう意味で翻訳出版における編集者やデザイナーの役割とは「言葉とか画像」という素材を加工するという意味で、
料理人にも似た感じもありますね。
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背と見返しはベージュで、
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ベージュの色面から枯れ葉が白い化粧扉の空間にまい、本編へと続きます。
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「au bout d'un moment,le vent se leve
fshhh! la surface de l'eau se met a trembler」
「しばらくすると、風が吹いて、
フーー!すると、水面が揺れ始めて」
文字は小さな子供でも読みやすいよう、大きめにゆったり組まれています。
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巻末、作者のおじさんのポートレイトにも枯れ葉とreflet(反映)が、、、、(笑)。
画集のようなしっかりした造本、パリジャンのエスプリ満載で値段は13,5ユーロです。
追って原画展のお知らせもします。
しばし、お待ちください。
posted by 新策論 at 20:10| Comment(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月27日

ファインダーズ・キーパーズ

うろ覚えの記憶などと良く言いますが、この「うろ」という言葉を検索すると「空・虚・中が空っぽになっている所。ほら穴。うつろ」とあります。
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さて、今回は画面右側の大きな樹の足元にポッカリと真っ暗なウロが描かれておりますが、一体ここに何がいる(ある)のでしょう?
昔からのキングファンならばすぐに『IT』などを連想するでしょう。
村上春樹ファンなら『ヤミクロ』とか『リトルピープル』なんかを思い浮かべるかもしれませんね。
ただ、今回の小説はホラーとかダークファンタジーの類ではなく純粋なミステリーです。
 「ファインダーズ・キーパーズ」は昨年出たキング初のミステリー小説にしてエドガー賞を受賞した「ミスター・メルセデス」の続き。
警察を退職した刑事ホッジスが活躍するホッジス・トリロジー(ホッジス三部作)の真ん中にあたるもので、ファインダーズ・キーパーズとはホッジス、ホリー、ジェロームのデコボココンビが開業した探偵事務所の名前なのです。
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簡単に内容を説明しますと、前回のミスター・メルセデスでは早朝、職を求めてハローワークの様なところに並ぶ人達の列にグレーのメルセデスが突っ込んで多くの死者とけが人を出しました。
その時、足に大怪我をおった中年男の子供達がここに描かれたお兄ちゃんピートと妹ティナです。
ただ二人の父親は無職。しかも怪我をしているわけですから家の経済状況はかなりきびしくて、何かというと夫婦喧嘩が絶えません、、、。
 そこで、エキサイトする喧嘩の様子をなるべく聞かせまいという気配りから、
兄は家の近くの空き地に妹を散歩に誘い、小川に石を投げたりして時間を潰し、喧嘩が収まった頃合いを図って家に帰るようにしているのですが、
そんなある日、空き地の大きな樹の根元のウロの中に何かを発見します。
中を覗きこむと、そこには古いトランクが、、、。
開けると中からは結構な額の札束が、、、と、まあ、ここまでは想像の範囲内かもしれませんが、
札束と一緒にモレスキンというイタリア製のノートが大量に。
中には手書き文字がびっしり、、、。
自分の部屋でこっそり読んでみると面白いのですが、
これが、なんと学校で使う教科書に載ってる様な、俗世を離れて隠遁生活を送っていた老作家(どこかサリンジャーを連想させる)の未発表原稿だったのです。
ただ、このトランクは殺人犯が老作家を殺害し盗み出してこっそり隠していたもの。
後半はそいつの魔の手が幼い兄妹に忍び寄り。
そこに、ファインダーズ・キーパーズ探偵社の面々が絡んでくるのですが、、、、。
個人的には少年が通っている学校の文学の先生の授業がかなり面白かった。
ヒッピー崩れの服装をしてハイテンション。
キング読者ならば多分ご存知であろうブローティガン、カーバー、ボネガットなどの懐かしい名前も
沢山登場し、思わず本棚の方を振り返ったり、、、。
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とにかく読書の秋には超オすすめの作品です。
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デザインは石崎健太郎さん。
お値段な上下巻各千八百円+税。
都内書店では今晩あたりから並んでる様です。
どうかお手にとってお確かめください。

posted by 新策論 at 20:30| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月07日

新装版「幻色江戸ごよみ」

幻色江戸ごよみ本番下書き(軽).jpg
ほの暗い居酒屋の片隅で醤油樽の椅子に腰掛けて、岡っ引きの男が飲み屋のおやじを相手に何やら
話し込んでいます。
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決まって、この月、神無月になると現れる盗人について。
毎年この月だけ律儀に現れる賊。奴は一体何者なんだろう?と、、、、、。
 一方場面は、まさに、これから年に一度の盗みに出かけようと準備をしている賊の男の部屋に変わり、、、。
「居酒屋」と「賊の家」、「追う側」と「追われる側」の視点が交互に語られ、物語は
わづか30ページで足らずで思わぬラストを迎えます。
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宮部みゆきというと多くの人が「模倣犯」や「ソロモンの偽証」のような、ドラマや映画にもなった
長大な現代ミステリーをまず思い浮かべると思います。
ただ、そういった話題作に比べ、やや地味に思われがちな時代小説。
特に短編小説にも注目してもらえたら、という編集サイドの思いから
今回、十二話の短編が入った「幻色江戸ごよみ」を装いも新たに
夏の新潮文庫の百冊フェアのラインナップに加えました。

秀逸な短編映画を見ているような鮮やかな場面展開
是非、立ち読みでも構いませんからご一読を、、、。



posted by 新策論 at 18:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月30日

荒神

荒神(影).jpg
夜の森。峠の道を幼子がつんのめって今にも倒れそうになっている。
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背後の集落では勢い良く火が立ち上って、
何か、ただならぬ事態が勃発しているに違いない、、、。
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帯には、「戦が始まる。」と、あるから、童の村が何者かに攻め込まれ、それで必死で逃げ延びて来たのか?
そして、文庫本を手に取って、巻末の解説をチラ見。
樋口真嗣とある。
あれ?、この方文芸評論家でなくて進撃の巨人やゴジラの監督じゃないか、
えっ、もしかして『荒神』荒ぶる神ってなにか巨人とか怪獣が登場する物語なのか?
宮部みゆきがそういうパニックものを江戸時代を舞台に書いたわけ?
と、内容についてはこれくらいにしましょう(笑)。
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さて、今年も新潮文庫の百冊フェアが始まりました。
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今年の目玉はこれ宮部みゆき著「荒神」
デザインは新潮社装幀室児玉裕子さん。
ずっしりと重い約700ページでお値段は940円+税です
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店頭用ポスターも用意して皆様のご来店をお待ちしています。
是非、手に取ってお確かめ下さい。

posted by 新策論 at 16:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする