2017年11月29日

「悲嘆の門」

本日、新潮文庫の新刊宮部みゆき著「悲嘆の門」が発売されました。
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さて、今日インターネット上に溢れる情報の中には放置していたらヤバイものが沢山ありますよね、
例えば、陰湿ないじめ、自殺サイト、テロ、フェイクニュース、違法ドラッグ、児童ポルノなどなど、
そのような犯罪に発展しそうなものを監視し、調査するサイバーパトロールが重要なのは言うまでもありません。
そこで、その手の仕事を専門とする会社に、若い人達によって運営されている『クマー』という一風変わったネーミングの会社があります。
今回は、そのクマーでバイトをしている大学一年生の男子、孝太郎が主人公です。
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物語の舞台は御茶ノ水だったり、西新宿だったりとリアルな東京なのですが、その平凡な日常の中にひたひたと不気味な闇が忍び込んでくる様は、
模倣犯などと同様、これぞ宮部節というスピーディーな展開!
どんどんとページをめくらされる事になります。
しかし、そのリアルな世界に突如、異界がパックリと口を開けて、読者をもう一つの世界に引きずり込むのが今回の「悲嘆の門」の特徴でしょうか?ミステリーとファンタジーが混じり合った異様な空間。
装画はそんなムードをダークなトーンで描いてみました。
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副都心のビルを背景に聳える西洋の塔を模した通称『お茶筒ビル』。
その廃墟ビルの頂上にはガーゴイルがこちらを見つめてしゃがんでいます、、、、。
また、右側にはタイトルと思われる『門』が聳えていますが、脇を囲む柵は『矛盾』。
つまり矛と盾で出来ています。どこまでが現世でどこからが異界なのか?この、摩訶不思議な世界を是非ご堪能ください。
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今夜あたりから、どどっ本屋さんに並んでいます。
お値段は上670円中630円下670円三冊合計で1970円です。
どうぞ、お手にとってお確かめください。
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2017年11月24日

「秘密の知識」

25日(土曜)午後5時から6時まで「秘密の知識」と題してトークを行います。
1,最初は美術史における発見としてBBCなどでも放映された、デイビッド・ホックニーの「Secret Knowledge」からアングルやフェルメールが使っていたカメラルシーダやカメラオグスキュラなどの光学機械について話します。
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2、次は「土と釉薬」「土性絵の具とニス」というテーマで陶芸と絵画の類似点について。
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3、「美術と美顔術」
ルネサンス期から皮膚の下地として使われたテルベルト(イタリアのVerona(ベローナ)近くの緑土)が現代でも泥パックとして美顔術に使用されていることについて話します。
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3、「鏡のゲーム」
一つのデッサンが反転されて左右(上下)対象に作図される構図は、現代ではフォトショップなどで行われています。
しかし、実はすでに15世紀頃からフレスコ画で行われていました。
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こんな、テーマで実際の顔料やニス、図版などを使いながら話します。
テレビなどでは放送されないディープな内容です。
この機会に是非。
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2017年11月21日

明日より絵本「Le long d’un reflet」の原画展。

いよいよ明日より絵本「Le long d’un reflet」の原画展が始まります。
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会場の設営もほぼ完了いたしました。
原画展販売物.jpg
こちらは会場で販売するパンフ及び絵本です。
宮部さんの装画集が1000円。日本版の絵本「ちいさなまち」が1200円。
フランス版の絵本は現地価格という事で、(132円✖️13,5ユーロ=1782円)ですがキリの良いところで1800円とさせて下さい。
ただし、フランス版のみ数に限りがありますのでお一人様一点とさせて下さい。
また、できればつり銭の無いようにして頂けると助かります。
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さて、話は変わりますが江戸川乱歩の探偵小説「D坂の殺人事件」をご存知でしょうか?実はこのD坂とは会場の近くの
「団子坂」の事でして、近所にはこんな喫茶店もあったりします。
会場乱歩コーナー.jpg
乱歩ゆかりの地でやる原画展ですので会場のはじにこんなコーナーを設けました。
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おっと、二十面相といえばこの方も忘れてはいけませんよね。
会場の周りも散歩が楽しい商店街や路地がいっぱいです、、、。
どうぞ、お誘い合わせの上、お越しください。
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2017年11月13日

絵本「Le long d’un reflet」の原画展の詳細です。

絵本「Le long d’un reflet」の原画展の詳細をお知らせします。
原画展案内.jpg
期間は11/22~11/26
場所は谷中の器やさん「韋駄天」さん。
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一階はこんな感じ、日本各地から取り寄せた和の食器がずらっと並んでいます。
そして、お店の入り口の脇にはスティーヴン・キングの小説「11/22/63」に出てくる、
過去へとタイムスリップする「アリスの兎の穴」のような細い階段があります。
そこを降りた地下ギャラリーが会場です。
会期中「11/22~11/26」は、祝日(勤労感謝の日)と、土日と休日が3日あります。
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会場界隈もノスタルジックな商店街と路地が続く素敵なシチュエーションです。
散歩がてら是非お出かけください。
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2017年11月08日

絵本「Le long d’un reflet」

フランスで翻訳出版された絵本「Le long d’un reflet」の見本が届きました。
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まづ、サイズが2割ほど大きくなって存在感が増しました。
しかし、よく見るとウキや釣竿、歩道や人物が水面より浮き上がっていて、
妙にリアルな空間感を感じませんか?
実はこれには、ある仕掛けが施されています。
絵本斜め見.jpg
この、斜めからの写真を見てください。
歩道、人間、建物、ウキや釣竿がある世界と水に映った世界の質感の違いがお分かりでしょうか?
実はこの印刷、「実際の世界」と「水に映り込んだ世界」が異なる手法で印刷されているのです。
離れて見るとなんかリアルな空気感。触れてみると歩道の部分と水の部分の感触も違います。
絵画には油彩、テンペラ、日本画などのジャンルがありますが、どれも顔料(色の粉)を膠や卵で溶いて紙や布に定着していることに変わりはありません。
ただ、メディウム(媒剤)によってかなりテクスチャーは変わります。
例えば、ワイエスの様な人は顔料を蒸留水と卵で溶いて、カラッとに乾いた世界を描きますし、
油絵の具をダンマル樹脂やリンシードなどで溶いて何層も重ねるとガラス質の層が描けます。
「dryな世界とwetな世界」「温かい世界と冷んやりした世界」
この違いをインクとニスを巧みに使いこなして再現しています。
この絵本の日本語の題名は「ちいさなまち」ですからフランス語に置き換えたら「la petite ville」となるかと
思います。
ただ、あえて「Le long d’un reflet」(Le long は沿って、refletは反映)と「水面を眺めながら」みたいな
ニュアンスのタイトルにしたのは実世界と水に写り込んだ世界の面白さに着目したからなんでしょうね。
そういう意味で翻訳出版における編集者やデザイナーの役割とは「言葉とか画像」という素材を加工するという意味で、
料理人にも似た感じもありますね。
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絵本見開き.jpg
背と見返しはベージュで、
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ベージュの色面から枯れ葉が白い化粧扉の空間にまい、本編へと続きます。
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「au bout d'un moment,le vent se leve
fshhh! la surface de l'eau se met a trembler」
「しばらくすると、風が吹いて、
フーー!すると、水面が揺れ始めて」
文字は小さな子供でも読みやすいよう、大きめにゆったり組まれています。
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巻末、作者のおじさんのポートレイトにも枯れ葉とreflet(反映)が、、、、(笑)。
画集のようなしっかりした造本、パリジャンのエスプリ満載で値段は13,5ユーロです。
追って原画展のお知らせもします。
しばし、お待ちください。
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2017年09月27日

ファインダーズ・キーパーズ

うろ覚えの記憶などと良く言いますが、この「うろ」という言葉を検索すると「空・虚・中が空っぽになっている所。ほら穴。うつろ」とあります。
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さて、今回は画面右側の大きな樹の足元にポッカリと真っ暗なウロが描かれておりますが、一体ここに何がいる(ある)のでしょう?
昔からのキングファンならばすぐに『IT』などを連想するでしょう。
村上春樹ファンなら『ヤミクロ』とか『リトルピープル』なんかを思い浮かべるかもしれませんね。
ただ、今回の小説はホラーとかダークファンタジーの類ではなく純粋なミステリーです。
 「ファインダーズ・キーパーズ」は昨年出たキング初のミステリー小説にしてエドガー賞を受賞した「ミスター・メルセデス」の続き。
警察を退職した刑事ホッジスが活躍するホッジス・トリロジー(ホッジス三部作)の真ん中にあたるもので、ファインダーズ・キーパーズとはホッジス、ホリー、ジェロームのデコボココンビが開業した探偵事務所の名前なのです。
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簡単に内容を説明しますと、前回のミスター・メルセデスでは早朝、職を求めてハローワークの様なところに並ぶ人達の列にグレーのメルセデスが突っ込んで多くの死者とけが人を出しました。
その時、足に大怪我をおった中年男の子供達がここに描かれたお兄ちゃんピートと妹ティナです。
ただ二人の父親は無職。しかも怪我をしているわけですから家の経済状況はかなりきびしくて、何かというと夫婦喧嘩が絶えません、、、。
 そこで、エキサイトする喧嘩の様子をなるべく聞かせまいという気配りから、
兄は家の近くの空き地に妹を散歩に誘い、小川に石を投げたりして時間を潰し、喧嘩が収まった頃合いを図って家に帰るようにしているのですが、
そんなある日、空き地の大きな樹の根元のウロの中に何かを発見します。
中を覗きこむと、そこには古いトランクが、、、。
開けると中からは結構な額の札束が、、、と、まあ、ここまでは想像の範囲内かもしれませんが、
札束と一緒にモレスキンというイタリア製のノートが大量に。
中には手書き文字がびっしり、、、。
自分の部屋でこっそり読んでみると面白いのですが、
これが、なんと学校で使う教科書に載ってる様な、俗世を離れて隠遁生活を送っていた老作家(どこかサリンジャーを連想させる)の未発表原稿だったのです。
ただ、このトランクは殺人犯が老作家を殺害し盗み出してこっそり隠していたもの。
後半はそいつの魔の手が幼い兄妹に忍び寄り。
そこに、ファインダーズ・キーパーズ探偵社の面々が絡んでくるのですが、、、、。
個人的には少年が通っている学校の文学の先生の授業がかなり面白かった。
ヒッピー崩れの服装をしてハイテンション。
キング読者ならば多分ご存知であろうブローティガン、カーバー、ボネガットなどの懐かしい名前も
沢山登場し、思わず本棚の方を振り返ったり、、、。
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とにかく読書の秋には超オすすめの作品です。
ファインダーズ・キーパーズWEB様2.jpg
デザインは石崎健太郎さん。
お値段な上下巻各千八百円+税。
都内書店では今晩あたりから並んでる様です。
どうかお手にとってお確かめください。

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2017年07月07日

新装版「幻色江戸ごよみ」

幻色江戸ごよみ本番下書き(軽).jpg
ほの暗い居酒屋の片隅で醤油樽の椅子に腰掛けて、岡っ引きの男が飲み屋のおやじを相手に何やら
話し込んでいます。
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決まって、この月、神無月になると現れる盗人について。
毎年この月だけ律儀に現れる賊。奴は一体何者なんだろう?と、、、、、。
 一方場面は、まさに、これから年に一度の盗みに出かけようと準備をしている賊の男の部屋に変わり、、、。
「居酒屋」と「賊の家」、「追う側」と「追われる側」の視点が交互に語られ、物語は
わづか30ページで足らずで思わぬラストを迎えます。
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宮部みゆきというと多くの人が「模倣犯」や「ソロモンの偽証」のような、ドラマや映画にもなった
長大な現代ミステリーをまず思い浮かべると思います。
ただ、そういった話題作に比べ、やや地味に思われがちな時代小説。
特に短編小説にも注目してもらえたら、という編集サイドの思いから
今回、十二話の短編が入った「幻色江戸ごよみ」を装いも新たに
夏の新潮文庫の百冊フェアのラインナップに加えました。

秀逸な短編映画を見ているような鮮やかな場面展開
是非、立ち読みでも構いませんからご一読を、、、。



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2017年06月30日

荒神

荒神(影).jpg
夜の森。峠の道を幼子がつんのめって今にも倒れそうになっている。
荒神.jpg
背後の集落では勢い良く火が立ち上って、
何か、ただならぬ事態が勃発しているに違いない、、、。
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帯には、「戦が始まる。」と、あるから、童の村が何者かに攻め込まれ、それで必死で逃げ延びて来たのか?
そして、文庫本を手に取って、巻末の解説をチラ見。
樋口真嗣とある。
あれ?、この方文芸評論家でなくて進撃の巨人やゴジラの監督じゃないか、
えっ、もしかして『荒神』荒ぶる神ってなにか巨人とか怪獣が登場する物語なのか?
宮部みゆきがそういうパニックものを江戸時代を舞台に書いたわけ?
と、内容についてはこれくらいにしましょう(笑)。
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さて、今年も新潮文庫の百冊フェアが始まりました。
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今年の目玉はこれ宮部みゆき著「荒神」
デザインは新潮社装幀室児玉裕子さん。
ずっしりと重い約700ページでお値段は940円+税です
文庫B2ポスター「荒神」04.jpg
店頭用ポスターも用意して皆様のご来店をお待ちしています。
是非、手に取ってお確かめ下さい。

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2016年10月06日

文庫版『11/22/63』

 本年度のキング祭りの第三弾文庫版「11/22/63」が明日から本屋さんに並び始めます。
「11/22/63」とは1963年11月22日の事。つまりJFKことジョン・フィッツジェラルド・ケネディが
テキサス州ダラス市内をオープンカーでパレード中多くの市民が見守る中何者かに狙撃され死亡した日
の事をさします。

11.22.63文庫カバー(入稿).jpg 
 物語は高校教師ジェイクがよく行くダイナーのオーナーからある事を頼まれるところから始まります。
オーナー曰く「ここ(アルス)・ダイナーの食料庫に(アリス)の兎の穴があり、そこから50年前の世界に行く事が出来る。俺はそこ(50年前の世界)に行って牛肉を安く仕入れて来てはハンバーガーを作っていたんだ。只、自分は病で老い先短い。そこで、あんたにお願いがある。
50年前の世界に行って「11/22/63」のケネディー暗殺を阻止してくれないか」、、、、、、と。
 
 ここから高校教師の果てしない時間旅行が始まるのですが、折しも日本版の単行本が発売された2013年秋は1963年から丁度半世紀たった年でアメリカでは様々な記念式典が催され、またJFKの娘さんであるキャロライン・ケネディーが駐日アメリカ合衆国大使に就任した年でもありました。
そして、年末に行われた『このミステリーがすごい!』と『週刊文春ミステリーベスト10』ではそれぞれ一位に選ばれました。
 ですから「11/22/63」は面白さという意味では当然保証付きなわけですが、自分のように無知な人間にとっては「面白い」というよりむしろ「勉強になった」という印象が残りました。
と、言うのも(言い訳がましくなりますが(笑)美大という所は入試科目が現国と英語と実技のみという関係上、歴史の教養がずっぽり抜け落ちていて、ましてや戦後現代史などについては全く疎い)。
 例えば「東西の冷戦」なんて言葉こそ知っていますが、それがどういう事だったのかと問われたらかなりきびしい。
ですから、ケネディーが1962年に成し遂げたキューバ危機の回避の場面などは現実の話と理解しつつもとてもスリリングに読みました。

アメリカとソ連の間で核戦争が勃発しそうになり広島型原子爆弾の数百倍に達する核爆弾が用意されていた。その威力たるや第二次世界大戦中に全世界で使われた総爆薬量の10倍。もし核戦争が起こっていたなら、数億の人が死んでいたかもしれない。
その頃の自分と言えばのどかな田舎でまだ幼稚園児だった。もうすぐ夢の超特急(当時新幹線の事をそう呼んでいた)が走り、日本はオリンピックを前にして空前の好景気だった。
そんな頃海の向こうで「世界の終わり」が迫り来ていたとは、、、、。

 また、ジェイクが50年前の世界でガソリンスタンドのトイレに入って行くシーンも印象的だった。まず二つの扉に「ご婦人用」と「殿方用」。ここまでは普通なのだが、その他に「coloured(有色人種)」という矢印があって辿ってゆくと小川に辿り着くという、、、、。
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さて、装画ですが単行本の時は上下本の二冊でしたが、文庫では上、中、下の三冊になったので左右を三割程
拡張したワイド・バージョンになりました。それにより単行本の時より「過去→現在」「country→cityという
タイムトリップ感が増した様に思います。
 装幀デザインは石崎健太郎さん。上、中、下の三冊にそれぞれ11,22,63が大きく配されたデザイン。
十月七日発売。定価は上が890円+税。中と下が950円+税となっています。

 また「11/22/63」http://www.star-ch.jp/112263/はJ・J・エイブラハムの監督で全9話からなるドラマシリーズがスターチャンネルで放映されています。見所は何と言っても60年代の世界なのですが、そのエキストラの数たるや1700人(当時の髪型、化粧で服装に関しては下着から当時のものを着用するという徹底振ぶり)また用意された当時の車の数がなんと2000台。こちらの方もよかったら是非。


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2016年08月18日

ミスター・メルセデス

丁度去年の今頃でした、ツイッターのタイムラインに「スティーヴン・キング  エドガー賞長編部門賞受賞」という記事が流れて来ました。
キングがアメリカの文学賞をとる事はさほど珍しい事ではありませんから、その時は何も考えずリツイートしました。
でも、ちょっと経ってから「あれ?さっきのおかしいぞ、エドガー賞は日本の作家もノミネートされた事があるミステリーの賞だ、
キングとは無関係のはず」 すかさず削除しようと思ったのですが、ちょっと、待てよ、まさかそんな事は無いだろうけど?
と、ググってみたのですが、、、、。
その、まさかが来週発売になるキング初のミステリー大作「ミスター・メルセデス」なのです。

 ただ、ここでファンタジー、ホラー、ミステリーなど、エンタメ小説の違いって何なの?と、いう事について簡単に触れておきますと、、、、。

例えば、今、自分は世田谷の家で椅子に座っていますが小説の中で五分後に東京駅まで移動しようとします。

ファンタジーだったらこれは全然オッケーですね、
帚に股がって空を飛んでも良いし、窓の外に猫バスがくるかもしれない、また、東京駅はおろか
どんな異世界でもすっと行けるのがファンタジー。
魔法の世界のお話ですからね。

次に、ホラーはどうかというと、これもオッケーですね。東京駅にいた俺はドッペルゲンガーだとか、
双子の片割れだとか、身体から魂だけが離脱したとか、いくらでも理屈は付けられます。
超能力とか、予知夢、呪い、幽霊、吸血鬼など現在の自然科学の知見では説明できない世界を描いたジャンルですからね。

でも、ミステリー小説で世田谷から五分で東京駅に移動は無理かと思われます。
電車は論外。自動車では時速何キロ?信号は幾つある?
ヘリコプターなら?ヘリポートは何処のにある?と、
「現実」に即して「科学的」に「論理的」に進行するのがミステリー小説ですからね。

それぞれ違ったルールのもとで面白さ競っているんですね。
 
ですから、キングの様に「恐怖の帝王」として吸血鬼とか、呪われた館とか幻想の世界で勝負して来た人間が、
突然全然違う畑で初のミステリー小説を書き,アメリカ推理小説最高権威であるエドガー賞を受賞したという事実を確認した時は、
まるで「ローリング・ストーンズが初のジャズアルバムでグラミー賞受賞」みたいな冗談を突きつけられたような感じでした(笑)。

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さて、内容はと言いますと、ある日市民センター(日本でいうところのハローワーク?)に職を求め深夜から並んでいた人々の列に
霧の中から現れたメルセデスベンツが突っ込んで、数人を跳ね、轢き殺し霧の中へ去って行きます。
車自体は程なく発見されるのですが犯人はまんまと逃走。

この事件を追跡していた刑事ホッジズはついにこれを解決出来ぬまま無念の定年退職。

そして、退屈な日々を自堕落に過ごしていた退職刑事の元に「メルセデスキラー」と名乗る犯人らしき者から一通の手紙が届きます。
犯行の全容を振り返る気色の悪い内容。最後は「ざまを見やがれ、負け犬」と締めくくられています、、、。

しかし、引退後無気力に過ごしていた身に突きつけられた挑発に以外にも、むくむくと気力に満ちて来た自分に気づきます。

そして、この未解決事件の捜査の続行をある女性からの依頼される事になるのですが、、、、。
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ベーコンと固焼き卵の朝食をガッツリ食べるタフな刑事が主人公で、美女も登場となると、
「おっ、もしやこれはキング版フィリップマーロー?」なんて期待も湧いて来ます。
当然ハードボイルド的にも楽しめますが、これは過ぎ去りし良き時代をノスタルジックに語る小説ではなく、あくまでも舞台はリーマンショック後の現代のアメリカです。
探偵とメルセデスキラーとのやり取りも最初こそ「手紙」というアナログな手段が取られますがその後は、メールでも、ラインでもなく、有料のアプリが用意されます。
また、数々の犯行も素人には到底想像も及ばないハイテクを駆使した手口ばかりですから
すこぶるコンテンポラリー(今日的)なクライム・ノベル(犯罪小説)とも言えますし、
犯人はかなりやばい変態サイコパスですからサイコ・スリラーとも言える。
読者の受け取り方で色々な楽しみ方が出来るミステリー大作です。

さて、これだけでも驚きなのですがこの物語がこの一作で完結するのではなく。
探偵ホッジズ三部作(ホッジズ・トリロジー)として書かれたもので、
すでにアメリカ本国では三部が箱入りで発売されていると言うのですから、キングという人は怪物なのではないかとも思えて来ます。

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装幀デザインは石崎健太郎さん。カバーから表紙、見返し、化粧扉とまさにcool!なデザイン(紙選び印刷)が施されております。
帯の紙もパールがかったきらびきのような紙が使われています。どうか、書店でお手に取ってお確かめ下さい。


夏の暑さも一段落して季節は徐々に読書の秋へ、『ミスター・メルセデス』
八月二十二日発売。定価は上下巻それぞれ1850円+税となっております。

都心の書店ではそろそろ並び始めている模様。
どうぞ、是非御堪能下さい。






posted by 新策論 at 18:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする