2019年01月22日

「心霊電流」REVIVAL

ある日、ジェイミー・モートン坊やが道端の土砂を丘に見立てて6歳の誕生日にもらったプラスチックの兵隊で戦争ごっこをして遊んでいると,若い男が話しかけてきました。男の名前はチャールズ・ジェイコブズ。町の教会に新しく赴任してきた牧師でした。男はしばし戦争ごっこに付き合ってくれて「今度うちに遊びに来ないか?君の喜びそうなものがガレージにある」と言いました。
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さて、車庫の大きなテーブルの上にはこんなものがありました。若い牧師が組み立てたジオラマですが、おもちゃ屋の店頭で見かけるような電車の模型を走らせたものでなく。
これは、マタイの福音書十四章の一節「湖の上を歩くイエス」の情景をメソジスト教徒青年会に集まる子供達に説明するための教材としてのジオラマ模型でした。
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水を張った湖の上を電気じかけのキリストが弟子達の乗った船に向かって歩いてゆきます。そして丘にはややスケール感のおかしな羊達の模型。
坊やは一眼でこの模型も牧師の事も大好きになりました。
そして、日曜学校でピアノの伴奏をしてくれる牧師の美しい妻も。彼らの愛くるしい子供も町中の人気者になりました。
しかし、そんな幸福なある日、とんでもない惨事が突然牧師に襲い掛かります。
晴天から暗闇へ、、、。
そして、この事件以後牧師は人々に信仰を説く立場にありながらも段々と神の存在を信じられなくなり、ついに町を去る事となります。
物語は子供時代のジェイミーの視点から始まり、やがてギターに才能を見出しバンド演奏や恋愛にのめり込む青春時代へと、そして、中年時代へと続くのですが、それぞれの時代にいつもチャールズ・ジェイコブズが絡んできます。
このように人生の長きにわたって出現を繰り返すキャラクターの事を映画などではフィフス・ビジネス(第五の役柄)あるいはチェンジ・エージェント(変化の仕掛け人)と言うそうなのですが、それぞれの時期の二人の境遇、関係性などがとても興味深く描かれています。
 さて、キング本はここ三年私立探偵ビル・ホッヂズを主人公としたホッヂズ・トリロジーと言うミステリーものが続きましたが、今回の『心霊電流』は献辞に並ぶ顔ぶれ(ブラム・ストーカー、H・P・ラヴクラフト、シャーリー・ジャクソン等)からも推測がつくかと思われますがかなりやばいホラー小説です。
『心霊電流』原題は『REVIVAL』ですからカバー絵の稲妻と六本の送電線(ギターの弦と同じ)からロックのリバイバル曲を、また『復活』『生き返る』と言う意味から○○の生き返りを想像するかもしれませんが久々の恐怖の帝王の復帰を是非お楽しみください。
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装丁はダークなブルーに上・下刊の丸にあずき色と辛子色が配されておりますが、
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それ等の色がそのまま帯色に反映した、上下巻で帯色が異なるという石崎健太郎氏のデザインセンスが際立った装丁になっおります。
上下巻それぞれ定価本体1800円+税。来週の今頃には本屋さんに並びます。
どうぞ、紙媒体ならではの感触を是非店頭で手にとってお確かめください。

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2018年10月22日

宮部みゆき全一冊

 本日『宮部みゆき全一冊』(新潮社刊)が発売されました。
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単行本未収録の幻の短編小説、未収録エッセイ、超ロングインタビューなどに加え
藤田新策画廊と称して新潮文庫のカバー原画全22点をカラーで掲載して頂きました。
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また、本人による朗読CD付きです。
本屋さんで見かけたら、是非手にとってみてください。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.shinchosha.co.jp/book/375015/
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2018年09月19日

「任務の終わり」(End of Watch)

 数年前の夏、新聞の片隅の小さな記事に釘付けになりました。夏休みの最終日と始業式にあたる九月最初の数日で日本中で毎年数百人の児童が自殺をするので、全国の親御さんの皆様、お子様の変化には十分のご注意をお配り下さいという記事だった。
そもそも自殺などという言葉は会社に(社会に)見捨てられた疲れ切ったおじさんにつきまとうイメージで、無邪気な子供達とはもっとも縁遠いものだと勝手に信じ込んでいたので、これには一瞬目を疑いました。
 また、しばらくしてこんな記事にも驚かされました。アメリカでオピオイドという鎮痛剤の乱用が常態化していて、毎日百人以上が「絶望死」という死に至っているという。オピオイドとはケシ(Opium poppy)などから作る鎮痛剤の一種で、病院で関節炎などにも普通に処方されている薬なのですが、常習性があり、次第に中毒状態になり最後は死に至るという、、、。
 昨年出版されたホッジズ三部作の第二作目の「ファインダース・キーパーズ」では河原の大木の根元から大金と未発表原稿の入ったトランクを見つけた少年ピートの父親で、メルセデスによる事故で怪我を負った男がオキシコンチンという薬を服用していましたが、これもオピオイドの一種です。
 「サピエンス全史」で日本でも有名になったユヴェル・ノラ・ハラリが最新刊「ホモ・デウス」で「今日、食べ物が足りなくて死ぬ人の数を、食べ過ぎで死ぬ人の数が史上初めて上回り、兵士やテロリストや犯罪者に殺害される人の数を、自ら命を断つ人の数が上回る。」と書いていますが、どうやら死に纏わる今までの常識を考え直す時期に来ているのかも知れません。
 また近頃では集団自殺などという言葉も耳にしますが、歴史上最大の集団自殺として思い出されるのが1978年に南米ジョーンズタウンでキリスト教系カルト教人民寺院の教祖ジム・ジョーンズの元でシアン化物を混ぜ込まれたフレーバー・エイドとクール=エイドの混合飲料によって行われた集団自殺その数なんと918人。その内約300人が未成年の子供だったという、、、。
 とんでもなくドープな無駄話をしてしまいましたが、この辺で本題のホッジズ・トリロジー(三部作)の最終章「任務の終わり(エンド・オブ・ウォッチ)」に話題を変えましょう。
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  二年前に出たホッジズ・トリロジーの第一弾「ミスター・メルセデス」で、盗んだメルセデスで多数の人間を殺したメルセデスキラーことブレイディー・ハーツフィールドはホッジスに送りつけた挑戦的な手紙で「退職した刑事の自殺率は極めて高い」などと自殺をそそのかす様な事を言ったり、犯行に使ったメルセデスの持ち主の夫人の部屋のパソコンに赤ん坊の声をプログラミングして幽霊と思い込ませ夫人をノイローゼに陥れ自殺に誘導したりと、あたかも自殺の設計者の様な事をしていました。
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 さて、そこで今回の「任務の終わり」ですが、ファインダース・キーパーズ探偵事務所でパソコンに向かうホリーとゲームボーイの様なものを手にしたホッジス。その周りを禍々しい色どりのフィッシュが回遊している。フィッシュとは、もじ通りの魚という意味の他にハッカー的なスラングでもありますから、賢いキング読者の皆様はその辺からすでに何かを推理されているかもしれません。
 ただ、ご存知の様にメルセデスキラーはコンサート会場で数千人の若者を巻き添いにしてプラスチック爆弾のスイッチを押す寸前でホリーにハッピースラッパー(ソックスの中にベアリングを詰めた武器)で思い切り頭を殴られ永続的植物状態という薄明かり世界の住人になっているはずです。では、天才犯罪者はどうやって復讐劇に至るのでしょう?
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と、まあ明後日には「任務の終わり」は本屋さんに並びます。初秋の週末を是非ゆっくりとお楽しみ下さい。
デザインは石崎健太郎さんタイトル文字は特色のシルバーを使っています。
定価は上下巻とも1800円+税です。
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The Bill Hodges Trilogy(ビル・ホッジズ三部作)これにて完結です。
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2018年05月11日

無限のビィ

朱川湊人さんとの仕事は今から遡る事約15年程、まだ朱川さんが直木賞を受賞する以前、オール読物という文芸誌で数年にわたって挿絵を描かせて頂いたのが始まりでした。
「大阪や東京の下町を舞台にしたノスタルジックな世界」などと紹介される事が多いと思われますが、
一言でノスタルジックという言葉では片付けられない、不可思議な既視感(デジャヴ)とでも言いましょうか?
言葉では説明しきれない怪しげな闇みたいなものが魅力、と、当時から感じておりました。
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例えば、高架下のH型鋼材の暗がりに人が横たわっていると信じ込んで、その下を怯えて駆け抜ける少年?
ラーメン屋、小公園、木造アパート、誰もが普段見ている日常。その裏に潜んでいる怪しげな闇。
ただ今まで装画(カバー絵)を描く機会がなく、いつかその怪しげな魅力を描いてみたいとは思っていたのですが、
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今回、ようやく「無限のビィ」の文庫版のカバーを描かせていただくことになりました。
「無限のビィ」という得体の知れない悪霊が女教師や女生徒、カラスなどに次々とのり移って、のどかな下町に不穏な空気がじわじわと広がります。
例えば、産休の教師の代わりを務める補助教員の若い美人教師は、すかさず若い男子教員と教頭を翻弄し、校内では殺傷事件が勃発します。混乱の輪は徐々に広がり終盤にはパニックに、、。
というと「和製ホラーの大作!」と紹介されそうですが、個人的には「ディープ・ファンタジー」なんて呼びたくなりました。
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そしてこれは、実際に都下のある駅で起きた列車事故の大惨事から着想を得て、
想像を膨らませ、濃密な筆致で描き上げた朱川版「呪われた街」でもあるのです。
舞台はいわゆる「ブラタモリ」などに紹介される事はなさそうな、はっきり言ってあまり注目されていない街です。
ただ、今日のようにアニメなどの背景に描かれただけで、聖地巡礼などと言って人が押し寄せたりする時代。
もしかして将来「ホラー・ツーリズモ」なんてのが流行ったりしたら?
なんて、冗談言いながら、ふと、テレビを付けてみたら、なんとすでに「孤独のグルメ」の舞台になっていた(笑)。
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そんなわけで「無限のビィ」上・下各830円+税。徳間文庫より。
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2018年04月26日

「ミスト」

サニーデイ・サービスのPopcorn Balladsというアルバムに「彼女の名前はクリスマス♪」と繰り返す歌があって、最初聴いた時はヘンテコな歌だなと思ったのだが、フランス人がメリー・クリスマスの事を「ジョワイユ・ノエル」と言っているのを聞いて、あっ、そうかクリスマスはノエルなんだ、じゃ、オアシスのボーカル、ノエル・ギャラガーは名前がクリスマスなんだ(彼女ではないけれど)と思った。

ノエル=クリスマスならジョエルは?と調べたら、こちらは旧約聖書の著者とある。
だからシェフのジョエル・ロブションは名前が、歌手のビリー・ジョエルは姓が聖書なんですね。

欧米にはこういうキリスト教にちなんだ名前が結構あって、「クリスティーン」はキリスト教徒。マリアは説明するまでもありませんが、マイケル(英語)ミッシェル(仏語)ミヒャエル(独語)は大天使ミカエルが由来。他に天使ではガブリエルも。
そうか、マイケル・ジャクソンもピーター・ガブリエルも天使だった?のか、笑。

無宗教を自認する人の多い日本では(自分も例外ではないが)ちょっと理解しがたいかもしれないがキリスト教文化圏では名前だけでなく、美術や物語にもかなりキリスト教が関係しています。
映画については「奇跡の丘」から「ジーザス・クライスト・スーパースター」「ゴダールのマリア」から最新の「シェイプ・オブ・ウォーター」まで、例を挙げだしたらきりがありません、、。

キングの小説で一番それを感じたのが「グリーン・マイル」です。まづ、ふんずけられた鼠に息を吹きかけて生き返らせたり、病を癒したりする奇跡を起こす黒人の大男の名前が「ジョン・コフィー」。イニシャルは「J.C」ですからジーザス・クライストを連想させます。
そして、向かえの牢屋に収監されているフランス人の囚人の名前がドラクロワDelacroix。前置詞de女性名詞の冠詞laにcroix 「十字、十字架」。
また、処刑に使われる電気椅子自体が磔刑が進化したものだし、処刑の2日前から好きな食べ物のリクエストをさせてもらえるのも「最後の晩餐」を連想させる。電気椅子に向かうグリーン・マイル(緑のリノリウムを貼った通路)はまるでゴルゴダの丘に向かう悲しみの道の様だ、、、。
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さて、前置きが大変長くなりましたが、「ミスト(霧)」の新装版のお知らせです。
ミストは霧に覆われた街でスーパー・マーケットに閉じ込められた人達に、霧の中から現れれた怪物が襲いかかるパニック・ホラー
です。人間対得体の知れない怪物の手に汗握る戦い。
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でも、再度読み返してみると、閉じ込められたスーパー・マーケットの中で、当初ただの気の触れた婆さんとしか思われていなかったキリスト教信者のミセス・カーモニーの存在が、徐々にに預言者としての共感を人々から集め、自信に満ち、エキサイトして行く様子がとてもスリリングで興味深いのです。
キング作品では他に狂信的な母親に育てられた少女「キャリー」のお話も有名ですが、「ミスト」は宗教と人間との関わりについてのキングの深い洞察力にもうならされます。
以前読まれた方も、初めての方にも是非読んでいただきたい一冊です。
また、グリーン・マイルも手がけているフランク・ダラボン監督の映画ミストはエンディングこそ若干異なりますが、そちらも楽しんで頂けるとより味わい深いかと思います。

さて、キリスト教文化圏における人名についてダラダラと無駄話をしましたが、日本の小説で思い浮かぶのが村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」に登場する女性「木本沙羅」。お釈迦様は二本並んだサーラ樹(沙羅双樹)の間に、頭を北に向けて床を用意し、最後を迎えたと言いますから「木本沙羅」はすこぶる仏教的な名前かと思います。
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ま、そんな事を考えながら昔読んだ本を再度読み直すのも楽しいものです。
新緑の季節に是非新装版『ミスト』を定価860円+税で文春文庫から。









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2017年11月29日

「悲嘆の門」

本日、新潮文庫の新刊宮部みゆき著「悲嘆の門」が発売されました。
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さて、今日インターネット上に溢れる情報の中には放置していたらヤバイものが沢山ありますよね、
例えば、陰湿ないじめ、自殺サイト、テロ、フェイクニュース、違法ドラッグ、児童ポルノなどなど、
そのような犯罪に発展しそうなものを監視し、調査するサイバーパトロールが重要なのは言うまでもありません。
そこで、その手の仕事を専門とする会社に、若い人達によって運営されている『クマー』という一風変わったネーミングの会社があります。
今回は、そのクマーでバイトをしている大学一年生の男子、孝太郎が主人公です。
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物語の舞台は御茶ノ水だったり、西新宿だったりとリアルな東京なのですが、その平凡な日常の中にひたひたと不気味な闇が忍び込んでくる様は、
模倣犯などと同様、これぞ宮部節というスピーディーな展開!
どんどんとページをめくらされる事になります。
しかし、そのリアルな世界に突如、異界がパックリと口を開けて、読者をもう一つの世界に引きずり込むのが今回の「悲嘆の門」の特徴でしょうか?ミステリーとファンタジーが混じり合った異様な空間。
装画はそんなムードをダークなトーンで描いてみました。
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副都心のビルを背景に聳える西洋の塔を模した通称『お茶筒ビル』。
その廃墟ビルの頂上にはガーゴイルがこちらを見つめてしゃがんでいます、、、、。
また、右側にはタイトルと思われる『門』が聳えていますが、脇を囲む柵は『矛盾』。
つまり矛と盾で出来ています。どこまでが現世でどこからが異界なのか?この、摩訶不思議な世界を是非ご堪能ください。
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今夜あたりから、どどっ本屋さんに並んでいます。
お値段は上670円中630円下670円三冊合計で1970円です。
どうぞ、お手にとってお確かめください。
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2017年11月24日

「秘密の知識」

25日(土曜)午後5時から6時まで「秘密の知識」と題してトークを行います。
1,最初は美術史における発見としてBBCなどでも放映された、デイビッド・ホックニーの「Secret Knowledge」からアングルやフェルメールが使っていたカメラルシーダやカメラオグスキュラなどの光学機械について話します。
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2、次は「土と釉薬」「土性絵の具とニス」というテーマで陶芸と絵画の類似点について。
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3、「美術と美顔術」
ルネサンス期から皮膚の下地として使われたテルベルト(イタリアのVerona(ベローナ)近くの緑土)が現代でも泥パックとして美顔術に使用されていることについて話します。
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3、「鏡のゲーム」
一つのデッサンが反転されて左右(上下)対象に作図される構図は、現代ではフォトショップなどで行われています。
しかし、実はすでに15世紀頃からフレスコ画で行われていました。
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こんな、テーマで実際の顔料やニス、図版などを使いながら話します。
テレビなどでは放送されないディープな内容です。
この機会に是非。
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2017年11月21日

明日より絵本「Le long d’un reflet」の原画展。

いよいよ明日より絵本「Le long d’un reflet」の原画展が始まります。
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会場の設営もほぼ完了いたしました。
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こちらは会場で販売するパンフ及び絵本です。
宮部さんの装画集が1000円。日本版の絵本「ちいさなまち」が1200円。
フランス版の絵本は現地価格という事で、(132円✖️13,5ユーロ=1782円)ですがキリの良いところで1800円とさせて下さい。
ただし、フランス版のみ数に限りがありますのでお一人様一点とさせて下さい。
また、できればつり銭の無いようにして頂けると助かります。
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さて、話は変わりますが江戸川乱歩の探偵小説「D坂の殺人事件」をご存知でしょうか?実はこのD坂とは会場の近くの
「団子坂」の事でして、近所にはこんな喫茶店もあったりします。
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乱歩ゆかりの地でやる原画展ですので会場のはじにこんなコーナーを設けました。
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おっと、二十面相といえばこの方も忘れてはいけませんよね。
会場の周りも散歩が楽しい商店街や路地がいっぱいです、、、。
どうぞ、お誘い合わせの上、お越しください。
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2017年11月13日

絵本「Le long d’un reflet」の原画展の詳細です。

絵本「Le long d’un reflet」の原画展の詳細をお知らせします。
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期間は11/22~11/26
場所は谷中の器やさん「韋駄天」さん。
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一階はこんな感じ、日本各地から取り寄せた和の食器がずらっと並んでいます。
そして、お店の入り口の脇にはスティーヴン・キングの小説「11/22/63」に出てくる、
過去へとタイムスリップする「アリスの兎の穴」のような細い階段があります。
そこを降りた地下ギャラリーが会場です。
会期中「11/22~11/26」は、祝日(勤労感謝の日)と、土日と休日が3日あります。
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会場界隈もノスタルジックな商店街と路地が続く素敵なシチュエーションです。
散歩がてら是非お出かけください。
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2017年11月08日

絵本「Le long d’un reflet」

フランスで翻訳出版された絵本「Le long d’un reflet」の見本が届きました。
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まづ、サイズが2割ほど大きくなって存在感が増しました。
しかし、よく見るとウキや釣竿、歩道や人物が水面より浮き上がっていて、
妙にリアルな空間感を感じませんか?
実はこれには、ある仕掛けが施されています。
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この、斜めからの写真を見てください。
歩道、人間、建物、ウキや釣竿がある世界と水に映った世界の質感の違いがお分かりでしょうか?
実はこの印刷、「実際の世界」と「水に映り込んだ世界」が異なる手法で印刷されているのです。
離れて見るとなんかリアルな空気感。触れてみると歩道の部分と水の部分の感触も違います。
絵画には油彩、テンペラ、日本画などのジャンルがありますが、どれも顔料(色の粉)を膠や卵で溶いて紙や布に定着していることに変わりはありません。
ただ、メディウム(媒剤)によってかなりテクスチャーは変わります。
例えば、ワイエスの様な人は顔料を蒸留水と卵で溶いて、カラッとに乾いた世界を描きますし、
油絵の具をダンマル樹脂やリンシードなどで溶いて何層も重ねるとガラス質の層が描けます。
「dryな世界とwetな世界」「温かい世界と冷んやりした世界」
この違いをインクとニスを巧みに使いこなして再現しています。
この絵本の日本語の題名は「ちいさなまち」ですからフランス語に置き換えたら「la petite ville」となるかと
思います。
ただ、あえて「Le long d’un reflet」(Le long は沿って、refletは反映)と「水面を眺めながら」みたいな
ニュアンスのタイトルにしたのは実世界と水に写り込んだ世界の面白さに着目したからなんでしょうね。
そういう意味で翻訳出版における編集者やデザイナーの役割とは「言葉とか画像」という素材を加工するという意味で、
料理人にも似た感じもありますね。
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背と見返しはベージュで、
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ベージュの色面から枯れ葉が白い化粧扉の空間にまい、本編へと続きます。
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「au bout d'un moment,le vent se leve
fshhh! la surface de l'eau se met a trembler」
「しばらくすると、風が吹いて、
フーー!すると、水面が揺れ始めて」
文字は小さな子供でも読みやすいよう、大きめにゆったり組まれています。
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巻末、作者のおじさんのポートレイトにも枯れ葉とreflet(反映)が、、、、(笑)。
画集のようなしっかりした造本、パリジャンのエスプリ満載で値段は13,5ユーロです。
追って原画展のお知らせもします。
しばし、お待ちください。
posted by 新策論 at 20:10| Comment(0) | 美術 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする