
さびれた商店街に佇む、閉店した小暮写眞館。これをレトロで味がある、と気に入った変わり者の親と弟と一緒に、高校一年生の花菱英一は、この古家に引っ越してきた。楽しげな家族をよそに戸惑う英一は、ある日、店先で見知らぬ女子高生から一枚の封筒に入った写真を渡される。「神社のフリマでノートを買ったら、これが挟まっていた、ただ、この写真がただの写真じゃ無い。あり得ない所に女の人の顔が写り込んでいる心霊写真だ。オタクの写真館の名前が入った封筒に入っていたから、どうか責任持って処分して欲しい」英一は友人のテンコの協力も得てこの心霊写真の謎を解き明かそうとするが──。写真に込められた〈想い〉を辿る、心温まるミステリー。

何処にでも有りそうな街の、何処にでも居そうな人達が繰り広げる物語なのに、最後まで一気に読まされる。こう言うの書かせたら宮部さんの右に出る人は居ないんじゃ無いかと思わせる傑作長編ミステリー。

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